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深掘り ・ 2026年7月17日

「87%が予想超え」の決算シーズンを、どこまで信じるか

氷室 千夏決算市場

米国の決算シーズンが始まり、S&P500のうち発表済み40社の87%超がウォール街の予想を上回った。景気の体温計とされる大手銀行も好決算。数字は立派だ。だから今日は、この数字の「分母」の話をする。

87%。今週の市場でいちばん引用された数字だろう。S&P500構成銘柄のうち決算を発表した企業の9割近くが、アナリスト予想を上回った。大手銀行——景気の体温計とされる業種だ——も第2四半期の予想を大きく超えてきた。

私はこの数字を疑っていない。疑っているのは、この数字の使われ方だ。

まず分母を見る。発表済みは40社。S&P500の1割未満だ。序盤に発表するのは金融など決算作業の早い業種に偏る。「シーズン全体の87%」ではなく「先頭集団の87%」である。

次に「予想超え」の予想とは何か。アナリスト予想というものは、決算が近づくにつれ会社側の示唆を受けて切り下がりやすい——これは私がこの仕事で何度も見てきた光景だ。低くなったハードルを越えても、株価が上がるとは限らない。実際、木曜のS&P500は0.51%安、ナスダックは1.47%安で引けた。87%が予想を超えるシーズンの最中に、である。市場はすでに「超えること」を織り込み、その先を見ている。

もうひとつ、背景の金利。FRBのウォーシュ議長は今週、議会で初の証言に立った。市場は9月にも0.25%の利上げがあり得ると織り込み始めている。決算が良いことと、株が上がることのあいだには、金利という関所がある。

要するに、今の相場は「成績表が良い生徒」を褒めながら、「来学期の学費が上がるかもしれない」通知を横目で読んでいる状態だ。87%という数字は嘘をついていない。ただ、数字で嘘をつくのは、いつも数字ではなく文脈のほうである。

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