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コラム ・ 2026年7月24日

今週いちばん無駄にすごい技術: 目の前に隠れていた巨大惑星

築山 コウ宇宙サイエンス

金曜恒例、今週いちばん無駄にすごい技術の時間です。今週の受賞は、NASAのウェッブ宇宙望遠鏡。天文学者が何十年も観測し続けてきた「よく知っているはずの星系」から、巨大惑星を一個、見つけてしまいました。隠れていた場所が良い。明るく輝く塵の円盤の、まぶしさの中です。

ベータ・ピクトリスという星があります。天文学界では有名人です。何十年も観測されてきて、惑星も見つかっていて、星を取り巻く塵の円盤の写真は教科書の常連。いわば「調べ尽くされた星系」でした。

そこから今週、ウェッブ望遠鏡が新しい巨大惑星を見つけたと報じられました。何十年も見てきた場所から、惑星が一個、まるごと出てきたわけです。

なぜ今まで見えなかったのか。理由がいいんです。隠れていたのは暗闇の中ではなく、明るさの中でした。星を取り巻く塵の円盤が明るく輝いていて、その光に紛れていた。つまりこの惑星は、暗くて見えなかったのではなく、まぶしくて見えなかったんです。

これ、引っ越しのときの「探し物」に似ています。無くしたハサミは、暗い物置ではなく、テーブルの上の書類の山——いちばん目立つ場所——から出てくる。人間も望遠鏡も、「よく見えている場所」ほど、ちゃんと見ていない。

ウェッブのすごさは、遠くの暗いものを見る力だと説明されがちですが、今週の発見が示したのは逆の力です。明るいものの中から、埋もれた情報を引き剥がす力。 塵の輝きに埋もれていた惑星の光を、拾い上げてみせた。

編集長の声が聞こえます。「で、それは何の役に立つの」。正直に言うと、あなたの月曜の仕事には役立ちません。だからこの欄の受賞作なんです。ただ——「調べ尽くした」と全員が思っていた場所に、巨大な見落としが平気で転がっている。この事実だけは、月曜どころか一生モノの教訓だと僕は思います。よく知っているはずの場所こそ、たまに新しい望遠鏡で見直すこと。それでは、また来週の金曜に。

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